蓄電池の寿命を長くする秘訣!導入効果と賢い選び方
コラム
2025.09.03

企業の皆様にとって、安定した電力供給は事業継続の基盤です。
近年、自然災害の増加や電力需給のひっ迫により、電力不安への懸念が高まっています。
その解決策として注目されているのが、蓄電池です。
しかし、蓄電池の導入には、寿命や運用方法など、多くの疑問点があるのではないでしょうか。
今回は、蓄電池の寿命を最大限に延ばすための実践的な方法をご紹介します。
蓄電池の寿命を長くする秘訣
適切な運用方法とは
蓄電池の寿命は、1日あたりの充放電回数(サイクル数)に大きく影響されます。
例えば、15,000サイクルの蓄電池を1日2サイクルで使用すれば約7.5年で寿命を迎える可能性がありますが、1日1サイクルに抑えれば、理論上は15年以上使用できる可能性があります。
電力使用量よりも蓄電容量が小さいと1日2サイクルで充放電されるため、蓄電池を1日1サイクルで使うには、電力使用量よりも蓄電容量が大きい製品を選ぶことが重要です。
運用計画を立てる際には、自社の電力消費パターンを正確に把握し、それに合わせた容量の蓄電池を選択することが、寿命を長く保つ第一歩となります。
過充電過放電の防止策
過充電や過放電は、蓄電池の寿命を著しく縮める原因となります。
過充電は電池の容量が100%を超えても充電を続ける状態、過放電は0%になっても放電を続ける状態です。
これらは電極の劣化を早め、蓄電容量の低下、発熱や発火のリスク、再充電困難といった問題を引き起こします。
リチウムイオン蓄電池の場合、0%まで使い切ってから100%充電するよりも、常に30~50%程度の残量を残す方が劣化が遅くなります。
蓄電池システムには、過充電・過放電防止機能が備わっていることが一般的ですが、システムの運用状況を定期的に監視し、異常がないか確認することも大切です。
最適な設置環境の確保
蓄電池は使用時に発熱するため、十分な換気と適切な温度管理が重要です。
直射日光が当たる場所や、密閉され高温になりやすい場所への設置は避け、周辺温度が25℃前後に保てる場所を選びましょう。
また、機器同士の距離を空けて風通しを良くすることで、熱の蓄積を防ぎ、寿命を延ばす効果が期待できます。
設置場所の選定は、蓄電池の性能維持、ひいては寿命に大きく影響するため、慎重な検討が必要です。

蓄電池寿命に影響する要因
蓄電池の種類による違い
蓄電池の種類によって寿命は大きく異なります。
リチウムイオン電池は10~30年、ニッケル水素電池は5~7年、鉛蓄電池は10~17年、NAS電池は15年程度とされています。
これはあくまで目安であり、実際の寿命は使用環境や運用方法によって変動します。
導入を検討する際は、それぞれの蓄電池の種類の特徴を理解し、自社のニーズに最適なものを選択することが重要です。
使用状況による劣化
蓄電池の充放電回数や深放電の頻度、使用温度など、使用状況は寿命に大きく影響します。
頻繁な充放電や深い放電を繰り返すと、電池の劣化が促進されます。
また、高温や低温環境下での使用も寿命を縮めます。
適切な運用計画を策定し、過酷な使用状況を避けることで、寿命を延ばすことができます。
環境要因による影響
設置場所の温度、湿度、直射日光の有無などは、蓄電池の寿命に影響を与える重要な環境要因です。
高温多湿の環境は電池の劣化を促進し、寿命を縮めます。
一方、極低温環境も電池の性能低下を引き起こす可能性があります。
適切な設置環境を確保することで、蓄電池の劣化を抑制し、寿命を長く保つことが可能です。

蓄電池寿命と導入メリット
導入によるコスト削減効果
蓄電池を導入することで、ピーク電力料金の削減や自家発電コストの低減など、コスト削減効果が期待できます。
ピーク時間帯の電力消費を抑制することで、電気料金を大幅に削減できる可能性があります。
また、太陽光発電システムと組み合わせることで、更にコスト削減効果を高めることができます。
導入によるコスト削減効果は、蓄電池の寿命と密接に関連しており、寿命が長いほど、投資回収期間が短縮されます。
環境への貢献
蓄電池は、再生可能エネルギーの有効活用を促進し、CO2排出量削減に貢献します。
太陽光発電などの再生可能エネルギーは、天候に左右されるため、蓄電池を活用することで、発電された電力を安定的に供給し、再生可能エネルギーの普及を促進することができます。
環境問題への意識が高まる中、環境への貢献は企業にとって大きなメリットとなります。
補助金活用方法
国や地方自治体では、蓄電池導入に対する補助金制度が設けられています。
補助金制度を活用することで、初期投資コストを削減し、導入のハードルを下げることができます。
補助金の申請要件や手続きについては、各地方自治体のホームページなどで確認する必要があります。
補助金制度の活用は、経済的な負担を軽減し、蓄電池導入を促進する上で重要な要素となります。
まとめ
今回は、企業における蓄電池の寿命を最大限に延ばすための実践的な方法について解説しました。
適切な運用方法、過充電・過放電の防止策、最適な設置環境の確保といった点に注意することで、蓄電池の寿命を長く保ち、導入メリットを最大限に享受できます。
蓄電池の種類や使用状況、環境要因なども寿命に影響を与えるため、それらを考慮した上で、導入計画を策定することが重要です。
コスト削減、環境貢献、補助金活用といったメリットを踏まえ、自社の事業継続計画に合わせた最適な蓄電池導入を検討しましょう。