電気料金の仕組みとは?企業のコスト削減を実現する方法
コラム
2025.08.10

企業の電気料金は、複雑で、削減策も多岐に渡り、なかなか最適化が難しいと感じているのではないでしょうか。
毎月の電気料金請求書を見て、本当にこの金額で妥当なのか、疑問に思う経営者も多いはずです。
高騰するエネルギーコストの中で、企業の収益を守るためには、電気料金の仕組みを正確に理解し、効果的なコスト削減策を実行することが不可欠です。
この文章では、企業の電気料金を深く理解し、コスト削減を実現するための具体的な方法をご紹介します。
電気料金の構成要素から削減策、そして最適なプラン選択まで、段階的に解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
電気料金の仕組み
基本料金の解説
基本料金は、電力会社が電力を供給するための設備(変電所や送電線など)を維持管理するために必要な費用です。
電気の使用量に関わらず、毎月一定額が請求されます。
高圧電力の場合、契約電力(kW)に基づいて計算されます。
契約電力は、電力会社が供給設備を用意する際の基準となる数値で、この数値が大きいほど基本料金は高くなります。
契約電力の決定方法は「実量制」と「協議制」の2種類があり、実量制は契約電力が500kW未満の場合に適用され、過去1年間の最大需要電力(デマンド)に基づいて決定されます。
協議制は500kW以上の契約電力の場合に適用され、電力会社との協議によって決定されます。
デマンドとは、30分間の平均電力消費量で、この値を低く抑えることが、基本料金削減の鍵となります。
従量料金の解説
従量料金は、実際に使用した電力量(kWh)に応じて計算される料金です。
使用電力量が多ければ多いほど、従量料金は高くなります。
従量料金は、節電によって直接的に削減できる部分です。
電力料金単価は電力会社によって異なり、時間帯別料金(ピーク時とオフピーク時で料金が異なる)を採用している電力会社もあります。
時間帯別の料金体系を理解し、電力使用量を調整することで、従量料金の削減効果を高めることができます。
燃料調整費の解説
燃料調整費は、電力会社の発電に使用する燃料(石炭、天然ガス、重油など)の価格変動を反映するための料金です。
燃料価格の上昇は燃料調整費の増加につながり、逆に燃料価格の下落は燃料調整費の減少につながります。
燃料価格の変動は、国際的な市場状況や地政学的リスクなどに影響を受けやすく、予測が困難です。
そのため、燃料調整費は毎月変動し、電気料金全体の変動要因として重要な要素となります。
再エネ賦課金の解説
再エネ賦課金は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)の発電を促進するための料金です。
この料金は、再生可能エネルギー発電所の建設・運営費用を賄うために、すべての電力利用者から徴収されます。
再エネ賦課金は、国の再生可能エネルギー政策に沿って設定されており、毎年見直される可能性があります。
契約電力の種類
契約電力は、電力会社が供給する電力の容量を表す指標です。
契約電力が大きければ、基本料金は高くなりますが、同時に使用できる電力量も大きくなります。
契約電力には、「実量制」と「協議制」の2種類があり、事業規模や電力使用状況に応じて適切な契約電力を選ぶことが重要です。
実量制は、過去1年間の最大需要電力に基づいて決定され、協議制は電力会社との協議によって決定されます。

電気料金のコスト削減策
ピークカットによる削減
ピークカットとは、電力消費のピークを低減させることで、最大需要電力を抑える手法です。
ピーク時に消費電力を削減することで、基本料金の削減効果が期待できます。
具体的には、省エネルギー機器の導入、ピーク時間帯の電力使用制限、不要な機器の電源オフなどによって実現できます。
ピークシフトによる削減
ピークシフトとは、電力消費のピークを時間的にずらすことで、最大需要電力を抑える手法です。
ピーク時間帯以外の時間帯に電力を集中して使用することで、ピーク時の電力を抑制し、基本料金を削減できます。
例えば、工場の稼働時間をピーク時間帯以外にずらす、蓄電池システムの導入などが挙げられます。
電気使用量の可視化
電気使用量の可視化は、リアルタイムで電力消費状況を把握し、無駄な電力消費を検知するための重要なステップです。
スマートメーターやデマンドコントローラーなどの導入により、時間帯別の電力消費量を詳細に把握することができ、ピークカットやピークシフトなどの対策を効果的に実施できます。
可視化されたデータは、従業員の省エネ意識向上にも役立ちます。
包括契約の活用
包括契約とは、複数の事業所をまとめて電力契約を行うことで、電力会社からより有利な条件で契約できる仕組みです。
複数の事業所を有する企業にとっては、コスト削減に繋がる可能性があります。
競争入札への参加
競争入札は、複数の電力会社から電力供給プランを提案してもらい、最も条件の良いプランを選択できる仕組みです。
競争入札に参加することで、より低価格で電力供給を受けることができる可能性があります。

企業最適な電気料金プラン選択
自社電力消費の分析
自社電力消費の分析は、最適な電力プランを選択するために不可欠です。
時間帯別の電力消費量、年間を通じた電力消費量の推移、ピーク時の電力消費量などを分析することで、自社の電力使用状況を詳細に把握できます。
最適な契約電力選定
自社電力消費の分析結果に基づき、最適な契約電力を選択します。
契約電力は、基本料金に大きく影響するため、適切な契約電力を選択することで、コスト削減効果を高めることができます。
コスト削減目標の設定
具体的なコスト削減目標を設定することで、効果的な対策を計画的に実施できます。
目標設定は、現状の電気料金、削減可能な金額、削減期間などを考慮して行う必要があります。
継続的な見直しと改善
電気料金プランは、定期的に見直すことが重要です。
電力市場の状況、自社の電力消費状況の変化などを考慮して、最適なプランを継続的に見直すことで、コスト削減効果を最大限に発揮できます。
まとめ
企業の電気料金は、基本料金、従量料金、燃料調整費、再エネ賦課金から構成され、それぞれ削減可能な要素を含んでいます。
ピークカット、ピークシフト、電力使用量の可視化、包括契約、競争入札といった様々なコスト削減策が存在し、自社の状況に最適な手法を選択することが重要です。
自社電力消費の分析に基づき、最適な契約電力を選定し、コスト削減目標を設定することで、効果的なコスト削減を実現できます。
継続的な見直しと改善を繰り返すことで、常に最適な状態を維持し、企業の収益向上に貢献できます。