法人の太陽光発電勘定科目の判断基準について解説
コラム
2025.12.10
法人が導入する太陽光発電設備は、その規模や設置方法、運用目的によって、会計処理上の勘定科目が異なり、適切な区分と計上が求められます。
設備本体だけでなく、架台や基礎、監視システムといった構成要素ごとの仕訳方法、さらには売電目的か自家消費目的か、あるいは自社の事業内容によってどのように会計処理が変わるのかを正確に理解することは、正確な財務諸表を作成し、適切な税務申告を行う上で不可欠です。
今回は、法人における太陽光発電設備の勘定科目について、その判断基準から具体的な分け方、耐用年数との関係までを詳しく解説します。
法人の太陽光発電設備の主な勘定科目
太陽光発電設備を法人で導入した場合、その資産価値に見合った勘定科目で適切に計上する必要があります。
一般的に、発電設備は固定資産として扱われ、その性質に応じて「建物附属設備」または「機械装置」として処理されるのが基本となります。
どちらの勘定科目に該当するかは、設備の取得価額だけでなく、設置場所や建物との一体性、固定資産税の課税対象となるかといった具体的な状況によって判断されます。
取得価額や設置場所による判断基準
勘定科目の選択にあたっては、まず総額でいくらで取得したかという取得価額が重要な判断材料となります。
個人事業主であれば10万円未満は原則として消耗品費ですが、法人の場合は固定資産として計上する基準が異なります。
また、太陽光発電設備が土地に直接基礎を設けて設置されているのか、それとも既存の建物の屋根や壁に固定されているのかといった物理的な設置場所や、建物と一体となって機能しているかどうかの判断も、科目を分ける上で重要視されます。
固定資産税の課税対象となるかどうか、あるいは減価償却資産の区分における「器具及び備品」「建物」「構築物」などの定義に照らし合わせて、最終的な勘定科目が決定されることになります。

売電用と自家消費用の勘定科目の違い
太陽光発電設備を導入する目的が、売電による収益獲得なのか、それとも事業活動における電力の自家消費なのかによって、会計上の取り扱い、特に勘定科目の選択において違いが生じることがあります。
売電用と自家消費用の扱いの違い
売電を主たる目的とする設備は、電力会社との契約に基づき、外部に供給することで直接的な収益を生み出す資産とみなされ、土地に固定された「構築物」や、独立した発電機能を持つ「機械装置」として扱われる傾向があります。
これに対し、工場や事業所内の消費電力削減を目的とする自家消費用の設備は、建物と一体となって電力供給を補助する設備と捉えられ、「建物附属設備」として計上されるケースが多く見られます。
ただし、自家消費用であっても、その装置自体が高度な機械的機能を有していれば「機械装置」に分類されることもあります。
収益獲得目的が勘定科目判断の鍵
太陽光発電設備が、直接的な収益獲得を目的としているのか、それとも既存事業のコスト削減や効率化に貢献する目的で導入されたのか、という「収益獲得目的」が、勘定科目を判断する上で非常に重要な鍵となります。
この目的の違いが、資産の性質や経済的実態の捉え方に影響を与え、結果として適用されるべき勘定科目の選択に反映されるのです。
設備用途による減価償却の違い
勘定科目の選択は、その後の減価償却費の計算にも影響を及ぼします。
売電用として「構築物」や「機械装置」に分類された場合と、自家消費用として「建物附属設備」に分類された場合では、適用される耐用年数や減価償却の方法が異なるため、毎期の損益計算に違いが生じることになります。

太陽光発電設備の耐用年数と勘定科目の関係
太陽光発電設備をどの勘定科目に計上するかによって、その後の減価償却期間、すなわち耐用年数が異なり、結果として毎期の減価償却費の金額に影響を与えます。
勘定科目選択の減価償却費への影響
各勘定科目には、減価償却資産の耐用年数等に関する法令により定められた耐用年数が存在します。
この耐用年数が短いほど、資産の価値はより早く費用として計上され、帳簿価額は減少していきます。
したがって、どの勘定科目に計上するかという初期の選択が、将来の財務諸表における資産価値や利益に継続的に影響を与えることになるのです。
建物附属設備は建物の耐用年数との関連
「建物附属設備」として計上される場合、その耐用年数は、付属している建物の法定耐用年数に準じて決定されることが一般的です。
例えば、木造の建物に付属する設備であれば法定耐用年数は短くなり、鉄骨鉄筋コンクリート造の建物であれば長くなる傾向があります。
このため、建物の構造や種類が、設備自体の減価償却期間に影響を与えることになります。
まとめ
法人で太陽光発電設備を導入する際の勘定科目は、設備本体を「機械装置」とするのが基本ですが、架台や基礎は「構築物」または「建物附属設備」に、監視システムなどは「消耗品費」等に区分されることがあります。
さらに、売電用か自家消費用か、といった設備の使用目的によって、適切な勘定科目の判断基準や適用される耐用年数が変動します。
「機械装置」は17年、「構築物」は10〜15年が目安となる一方、「建物附属設備」は付属する建物の耐用年数に準じます。
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