太陽光発電投資で法人が知るべき減価償却のメリットと計算方法
コラム
2025.12.17
太陽光発電設備への投資は、再生可能エネルギーの普及という社会的意義に加え、長期的な収益源としての側面から多くの企業で検討されています。
しかし、その初期投資額の大きさゆえに、導入後の税務処理が経営戦略における重要な要素となります。
特に、高額な設備投資にかかる費用をどのように会計上処理し、税負担を最適化していくかは、投資対効果を最大化する上で無視できない論点です。
今回は、法人が太陽光発電設備を導入した際の減価償却に着目し、そのメリットと具体的な計算方法について解説します。
太陽光発電投資における法人減価償却のメリット
減価償却により税負担を軽減
太陽光発電設備のような固定資産は、その購入費用全額を一度に経費として計上することはできません。
代わりに、国が定める耐用年数に応じて、毎年少しずつ経費として計上していく「減価償却」という会計処理が適用されます。
この制度により、設備投資額は分割されて損金算入されるため、会計上の利益が圧縮され、結果として納付すべき法人税額を軽減する効果が期待できます。
つまり、設備が実際に収益を生み出すのと並行して、税務面での負担を軽減できるというメリットが生まれるのです。
減価償却費計上による法人税額の圧縮効果
減価償却費を損金として計上することは、法人税の課税対象となる所得を直接的に減少させます。
例えば、ある事業年度において1,000万円の減価償却費を計上できた場合、法人税率を仮に30%とすると、それだけで300万円もの法人税負担を軽減できる計算になります。
この節税効果は、手元に残るキャッシュフローを増加させることに直結し、設備投資の早期回収や、さらなる事業拡大のための資金繰りを円滑にする上で、極めて大きな意味を持ちます。
長期的な視点で見れば、税務コストの最適化は、投資全体の収益性を高めるための重要な戦略となります。

太陽光発電設備の減価償却定額法と定率法の選び方
定率法による節税と初期費用の早期回収
太陽光発電設備の減価償却方法として、定率法を選択した場合、その特徴は初期の償却費が大きく、年々減少していく点にあります。
これは、資産の取得価額に毎年一定の償却率を乗じて計算されるため、導入初年度から高い経費計上が可能となります。
結果として、早期に会計上の利益を圧縮し、法人税の軽減効果を大きく得られるため、投資した初期費用をより早く回収できる可能性が高まります。
また、早期の節税効果は、事業のキャッシュフローを潤滑にし、資金繰りの面でも有利に働くことがあります。
定額法による毎年の均等な節税効果
一方、定額法による減価償却は、資産の取得価額から残存価額を差し引いた金額を、耐用年数で均等に割った額を毎年償却費として計上する方法です。
この方式の最大のメリットは、毎年の償却費が一定であるため、節税効果も安定しており、長期的な事業計画や財務予測を立てやすい点にあります。
将来の税負担を予測しやすくなるため、計画的な資金管理が可能となり、企業経営における安定性を高めることに貢献します。
特に、長期にわたって安定した収益が見込める太陽光発電投資においては、この予測可能性が有用となる場面も多いでしょう。

太陽光発電設備の減価償却費の計算方法
定額法の計算式と年間償却費の算出
定額法における年間償却費の計算は、以下の式で算出されます。
「年間償却費=(取得価額–残存価額)÷耐用年数」。
太陽光発電設備は、一般的に法定耐用年数が17年と定められています。
例えば、1,000万円の太陽光発電設備を導入し、残存価額をゼロ円(※近年、残存価額は備忘価額1円として扱われることが多いですが、ここでは簡潔化のためゼロ円と仮定します)とした場合、年間償却費は「1,000万円÷17年」となり、毎年約588,235円を損金として計上できます。
この金額が17年間にわたって継続的に経費計上されることになります。
定率法の計算式と年間償却費の算出
定率法では、まず取得価額に一定の償却率を乗じて初年度の減価償却費を計算します。
「初年度減価償却費=取得価額×償却率」。
17年が法定耐用年数の太陽光発電設備の場合、平成28年4月1日以降に取得した資産に係る償却率は0.118です。
したがって、1,000万円の設備投資の場合、初年度の減価償却費は「1,000万円×0.118=1,180,000円」となります。
2年目以降は、前年末の未償却残高(取得価額からそれまでに償却した金額を差し引いた額)に同じ償却率を掛けて計算しますが、償却額が一定額を下回ると「改定償却保証額」を適用するルールがあります。
1,000万円の設備投資における初年度の減価償却費は、定額法の約58.8万円と比較して、定率法では約118万円と、より大きな経費計上が可能であることがわかります。
まとめ
太陽光発電設備への投資において、減価償却制度は法人税負担を軽減し、キャッシュフローを改善するための有効な手段です。
初期に大きな節税効果と早期の投資回収を目指すなら定率法が、毎年安定した節税効果と予測可能性を重視するなら定額法が適しています。
どちらの償却方法が自社の財務状況や経営戦略に合致するかは慎重な検討が必要です。
最終的な選択にあたっては、税理士などの専門家への相談も活用し、最適な税務戦略を立案することが、長期的な事業の成功につながるでしょう。
ご説明から施工まで、安心してお任せいただけるよう管理しておりますので、太陽光発電設備の設置をお考えの際はお気軽にご相談ください。