太陽光発電は全量売電と余剰売電どちらが良いのかについて解説
コラム
2026.01.09
太陽光発電システムの導入は、持続可能なエネルギー利用への貢献だけでなく、将来的な経済的メリットの観点からも注目されています。
発電した電気をどのように活用し、売却するかは、導入効果を左右する重要な要素であり、全量売電と余剰売電という二つの方式が存在します。
それぞれの仕組みや適用条件、そして変動する市場環境を踏まえた経済性の違いを理解することは、自身のニーズに最適な選択をする上で不可欠です。
今回は、これらの売電方式の違いから、それぞれのメリット・デメリット、そして将来を見据えた賢い選び方までを詳しく解説していきます。
太陽光発電の全量売電と余剰売電の違い
全量売電について
全量売電とは、太陽光発電システムで発電された電気を、自家で消費することなく、そのすべてを電力会社に買い取ってもらう方式を指します。
この方式では、発電した電力はすべて売電用として扱われ、固定価格買取制度(FIT)やそれに代わるFIP制度などに基づき、定められた価格で一定期間、継続的に売却されます。
そのため、発電量が多く、かつ自家での電力消費量が少ない場合に、売電収入を最大化するという特徴があります。
余剰売電について
一方、余剰売電は、太陽光発電システムで発電された電気のうち、まず自宅や事業所などで使用される分(自家消費分)を差し引いた、余った電力のみを電力会社に買い取ってもらう方式です。
この場合、自家消費される電力は電力会社から購入する電気代の削減に直接寄与し、さらに余剰電力については売電収入を得ることができるため、電気代削減と売電収入という二重の経済的メリットが期待できます。
設置容量や用途と適用される売電方式
太陽光発電の売電方式は、主に設置される太陽光発電システムの規模(設置容量)や、その設置が住宅用か産業用かといった用途によって、適用される方式がおおむね決まっています。
一般的に、住宅用として設置される小規模なシステム(概ね10kW未満)では、自家での電力消費とのバランスから余剰売電が採用されることがほとんどです。
対照的に、事業用として大規模に設置されるシステム(10kW以上、特に50kW以上)では、発電量が多く自家消費しきれない見込みが大きいことや、制度上の条件などから全量売電が選択されるケースが多く見られます。

全量売電と余剰売電のメリットとデメリット
高い売電収入を見込める全量売電
全量売電の最大のメリットは、発電した電力すべてを売却できるため、売電収入という観点からは最も大きな収益が見込める点にあります。
特に、発電量が多い大規模システムにおいては、この売電収入が事業収益の基盤となります。
しかしながら、発電した電気を自家で利用しないため、日中の電力消費に対する電気代の削減効果は得られません。
したがって、売電収入のみが経済的リターンとなり、自家消費による節約効果は享受できないというデメリットがあります。
余剰売電は自家消費で電気代を節約可能
余剰売電の大きな経済的メリットは、発電した電気を自家で消費することによる電気代の削減効果と、余った電気を売却することによる売電収入の二つを同時に得られる点にあります。
特に、日中に多くの電力を消費する家庭や事業所では、自家消費分を最大化することで、電力会社から購入する電気代を大幅に削減することが可能になります。
これは、売電単価が低下傾向にある現代において、経済性を高める上で非常に有効な手段となります。
F全量売電の収益性の低下傾向
固定価格買取制度(FIT)における売電単価は、制度開始以降、年々低下する傾向にあります。
特に全量売電においては、この売電単価の低下が直接的に収益性の低下につながります。
かつてのように高い単価での売電が見込めなくなったことで、初期投資の回収期間が長期化する可能性が高まっており、全量売電による事業計画を立てる際には、より慎重な収支シミュレーションとリスク評価が求められるようになっています。

将来性を見据えた売電方法の選び方と判断基準
電力消費量が多い場合は余剰売電
日中の電力消費量が多い家庭や事業所にとっては、発電した太陽光エネルギーを自家消費に充てることで、電力購入費用を大幅に削減できるため、余剰売電方式が経済的に有利となる可能性が高いと言えます。
売電単価が低下する傾向にある現状では、自家消費による電気代削減効果の重要性が増しており、自身の電力使用パターンを分析した上で、自家消費を最大化できる余剰売電を選択することが、長期的な経済的メリットにつながりやすいと考えられます。
売電収入の安定性を重視するなら全量売電
大規模な太陽光発電設備を設置し、発電能力が非常に高く、かつ自家での電力消費が限られている場合、あるいは安定した売電収入を事業計画の核としたい場合には、全量売電が適した選択肢となり得ます。
ただし、前述の通り、FIT価格の低下や年々変動する市場環境、将来的な制度変更のリスクなどを十分に考慮し、投資回収期間や収益の安定性について、多角的な視点から検討を進めることが不可欠です。
制度変更や将来の電気代予測も判断材料に
太陽光発電の売電に関する制度は、固定価格買取制度(FIT)からFIP(Feed-inPremium)制度への移行や、将来的な制度の見直しなど、変化していく可能性があります。
また、将来の電気料金がどのように変動していくかの予測も、現時点では不確実な要素です。
これらの外部環境の変化や、自身のライフスタイル・事業計画の変化なども含めて総合的に判断し、長期的な視点で最も合理的な選択肢を見極めることが、後悔のない決断につながります。
まとめ
太陽光発電の導入にあたり、全量売電と余剰売電のどちらを選択するかは、発電した電気の活用方法と経済性に大きく関わります。
全量売電は発電した電力をすべて売却することで売電収入を最大化する一方、余剰売電は自家消費による電気代削減と売電収入の二重メリットが期待できます。
近年のFIT価格低下傾向を踏まえ、自身の電力消費量、設置容量、将来的な電気料金の変動、制度変更リスクなどを総合的に考慮し、長期的な経済的メリットを最大化できる方策を選ぶことが重要です。
専門家への相談も活用し、ご自身の状況に最適な選択を行ってください。