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省エネ法改正とは?事業者に求められる義務化の内容を解説

コラム

2026.01.10

省エネ法改正とは?事業者に求められる義務化の内容を解説

エネルギー消費の効率化は、持続可能な社会を築く上で欠かせない取り組みです。
近年、地球規模での環境課題への意識が高まる中、エネルギー政策も新たな段階へと移行しています。
特に、再生可能エネルギーの導入拡大や、電力需給の安定化といった複雑化するエネルギー利用の動向に対応するため、既存の法律が見直される動きがあります。
こうした変化は、事業活動を行う上で無視できない要素となりつつあります。

省エネ法改正の背景と目的

脱炭素社会実現のため

2050年のカーボンニュートラル実現という野心的な目標や、2030年の温室効果ガス削減目標達成に向けた国際的な取り組み(例えばパリ協定など)が加速する中で、エネルギー消費の抜本的な見直しが求められています。
省エネ法改正は、こうした国の目標達成を支える重要な柱となります。
単にエネルギー消費量を減らすだけでなく、よりクリーンなエネルギーへの転換を促進し、社会全体の脱炭素化を推進することを目的としています。
具体的には、化石燃料に依存しない再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱など)や、水素、アンモニアといった次世代エネルギー源の活用を促すことで、CO2排出量の削減に直接的に貢献することを目指しています。

エネルギー利用の多様化に対応

太陽光発電をはじめとする非化石エネルギーの導入が進むにつれて、電力供給は変動しやすくなっています。
例えば、天候によって日照量や風力が変化するため、発電量が不安定になることがあります。
こうしたエネルギー利用の多様化に対応するため、省エネ法も進化しました。
これまでは主に化石エネルギーの効率的な利用に焦点が当てられてきましたが、今後は非化石エネルギーも含めた幅広いエネルギー源を対象とし、供給側の状況に応じた需要側の柔軟な対応を促すことも重要になっています。
これは、電力系統の安定性を維持しながら、再生可能エネルギーの導入を最大限に拡大していくために不可欠なアプローチであり、スマートグリッド技術や蓄電池、電気自動車(EV)などを活用した、より賢いエネルギー管理システムの構築を目指すものです。

省エネ法改正で義務化されたこと

全エネルギー使用の合理化

改正された省エネ法では、対象となる事業者(例えば、エネルギー多消費産業に属する工場など)に対し、非化石エネルギーを含む全てのエネルギー源について、その使用の合理化が求められるようになりました。
具体的には、これまで報告義務の対象となっていなかった非化石エネルギーの使用状況についても、新たに報告が義務付けられます。
これにより、事業者全体でのエネルギー消費の実態把握と効率化の推進が図られます。
例えば、バイオマス燃料の利用量や、再生可能エネルギー由来の電力購入量なども含めて管理・報告することで、エネルギーミックス全体における改善点を発見しやすくなります。

非化石エネルギー転換目標の設定

特定事業者等には、非化石エネルギーへの転換に向けた中長期的な計画の作成が義務付けられました。
これは、自社のエネルギー利用において、再生可能エネルギーなどの非化石エネルギーへの切り替えをどの程度、いつまでに進めるかという具体的な目標を設定し、その進捗を管理していくことを意味します。
例えば、2030年までに再生可能エネルギー由来の電力比率を〇〇%にする、といった具体的な数値目標や、それを達成するための設備投資計画、調達戦略などを盛り込む必要があります。
国が定める目安などを参考に、各事業者は計画を策定する必要があります。

電気需要の最適化DR報告

再生可能エネルギーの出力変動や電力需給のひっ迫といった状況に対応するため、電気の需要を最適化する取り組み、すなわちディマンドリスポンス(DR)に関する実績報告が求められるようになりました。
「上げDR」と呼ばれる、電力に余裕がある際に需要を増やす動きや、「下げDR」と呼ばれる、需要が逼迫する際に需要を抑制する動きなど、具体的なDRの実施状況が報告対象となります。
例えば、電力価格が高い時間帯に工場などの生産ラインを一時的に停止したり、電気自動車の充電を控えるといった「下げDR」の活動や、逆に電力系統に余裕がある時間帯に、蓄電池に充電したり、工場設備を稼働させたりする「上げDR」の活動が報告対象となり、電力系統の安定運用に貢献した実績を評価するものです。

改正省エネ法が事業者に求めること

エネルギー使用状況の報告

改正省エネ法では、事業者に対して、より広範なエネルギー使用状況の報告が求められます。
これには、非化石エネルギーの使用量や、前述したディマンドリスポンス(DR)の実施実績などが含まれます。
これらの詳細な報告を通じて、事業者は自社のエネルギー消費の実態を正確に把握し、改善点を見出すことが可能になります。
例えば、報告データ分析から、特定の時間帯における電力消費のピークを発見し、その時間帯の負荷を平準化するための対策を講じる、といった具体的な改善策の立案に役立ちます。
また、報告義務は企業のエネルギー利用に関する透明性を高め、ステークホルダーからの信頼獲得にもつながります。

中長期計画の策定

事業者は、非化石エネルギーへの転換目標を設定し、それに基づいた中長期計画を策定することが求められています。
この計画には、具体的な目標値や達成に向けた方策が含まれることになります。
例えば、自社工場への太陽光発電設備の設置、電化率の高い製造設備の導入、再生可能エネルギー電力の長期購入契約(PPA)の締結などが考えられます。
これにより、事業活動における脱炭素化への道筋を明確にし、計画的かつ着実に目標達成を目指すことが期待されています。
計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて見直しを行うことも、効果的な実行には不可欠です。

まとめ

今回の省エネ法改正は、エネルギー使用の合理化という従来の枠組みを超え、非化石エネルギーへの転換促進や、電力需給の安定化に不可欠なディマンドリスポンス(DR)といった新たな側面を強化するものです。
事業者は、非化石エネルギーの導入目標設定やDR実績の報告など、より多岐にわたる対応が求められるようになります。
これらの変化に対応し、エネルギー利用の最適化を進めることは、各企業の持続可能性を高めるとともに、社会全体の脱炭素化目標達成に貢献する重要な一歩となるでしょう。
具体的には、エネルギーコストの削減、サプライチェーンにおける環境リスクの低減、そして再生可能エネルギー導入拡大による社会貢献といった、企業価値向上に直結するメリットが期待できます。
ESG投資の観点からも、こうした積極的な取り組みは評価されやすくなっています。